あー、まずい本に手を出してしまった。。。

20年後の未来のために、青山プレップスクールです。



最近、読んでいる本は、なかなかグサッとくるものが多く、

今、ついてるなと思います。




特にこの、『フラジャイル 弱さからの出発』 (ちくま学芸文庫 松岡正剛



ぼくは今、塾という立場で、生徒さんたちと関わっています。

「教育」とは、彼らがオトナになっていく手助けをする仕事だと思っています。

「学歴」という名の、薄っぺらい箔はどうでもいいのですが、

彼らに「強い」人間になって欲しいというのが、ぼくの願いであり、祈りです。



ただ、ここでいう「強い」という表現が、何ともしっくりこなくて困っていました。

「負けない」、「打たれ強い」、「しなやか」、「自然体」。。。

言葉を尽くしても、しっくりこないなあと。。。(尽くし切れていないわけですが)



この本は、前々から何人かの方に薦められていた本です。

ただ、何となく怖くて、逃げていました。

もう少しオトナになってから読もうと。



ただ最近、ある生徒さんの心にもっと近づきたいと、

その助けになってくれるかもしれないと思い、意を決して、読み始めてみました。

(まだ、半分くらいですが、やばいです。。。)





冒頭から、

「敗北の美学のみが永続的だ。

敗北を解しないものは敗者だ。・・・

人がもしこの極意を、この美学を、

この敗北の美学を理解しなかったら、

その人はなんにも理解しなかった人だ。

ジャン・コクトー「阿片」(堀口大学訳)」

と来ます。

そしてページをめくると

「私の熱中は、これまでまったく顧みられてこなかった「弱さ」というものをめぐっている。また、弱さにひそむ「フラジャイルな感覚」をめぐっている。弱点や欠点や不足などの「弱々しさ」は、ここではちょっとした英雄である。わずかなこと、ささいなこと、はかないことは、ここではたいそうまぶしい出来事になる。」

と始まります。


ぼくの人生もまた、「弱きもの、はかなきもの」への熱中で満ちているのかもしれません。

ぼくを魅了してきたものたちは、(一気にグレードが落ちますが)

☆ 昆虫を始めとする、生き物たちの命のはかなさ
☆ か弱い星の瞬き
☆ 弱すぎるヤクルトスワローズ
☆ 繊細な名投手たち(松岡弘梶間健一岡林洋一伊藤智仁
☆ 一発勝負という受験
☆ あざみ野の民家にあった(今はない)桜
☆ 成長期ベンチャー企業
☆ フラジャイルな自分自身の心

友達も、危なっかしいほど、魅力的な友達にこそ魅かれると言うか、なんというか。


10代の頃は、そういうものが素直に好きだったし、
20代の頃は、逆に確かなもの、厳格なものを求めていたかもしれません。
そして30代になって、迷いがありますね。
(四十にして惑わず、となるでしょうか?)



そんな期限も迫ったときに出会ってしまった本。


これを認めていいのだろうかという迷いもあります。
ぼくが為政者だったら、もしかしたら発禁本にしちゃうかも。
少なくとも、ぼくは、これを読んだ後に、生徒さんたちとどう向き合っていけばよいのか、
迷う。


人間は一本の葦にすぎない。

自然のうちで最もひ弱い葦にすぎない。

しかし、それは考える葦である。


大切なものは全て、私たちの想いの中にある

私たちを立ち上がらせるものは、そこからやってくるのであって、

満たすすべのない物や、場所によってあるのではない


故に、想うことを忘れずに

そこにこそ あるべき姿がある

ブレイズパスカル

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