入院病棟内、学びのコミュニティー(松陰先生の野山獄中講義にならって)

入院生活も早4週間。 とりあえず下げ止まったようだけれども、回復の兆しは見えず、いまだに毎晩痛みと闘っております。 それはそうと、入院病棟内というところは、想像以上に不健全なのだと驚いております。 大音量で一日中テレビを見ている患者 ナースコールを鳴らし続けて、細かい不満を言い続ける患者 一日中寝ている患者 目の前の患者よりも、検査の数値ばかり見ている医師 薬の上に薬 マニュアル化が行き過ぎ、患者の声を聞かない看護師 結局、手の掛かる患者に若い看護師が何人も付ききりになってしまう とにかく忙しく、現場を回すのに精一杯の看護師さんたち 仕事との両立を前提としない病院システム やっぱりなんか偉そう でもほとんどの人は、ルーティンをこなしてるだけで治す気はない など 私が一番居心地悪く感じるのは、「学びの風」が感じられないことです。 そんなときふと思い出したのが、吉田松陰が投獄された野山獄。いや逆で、野山獄中で吉田松陰が行った読書と講義です。 松陰先生は獄中で、600冊の本を読んだそうですが、私はその日、つもりも準備もないままに入院することになり、たまたま持ち合わせていたのは6冊。1/100ですが、レベル的にそのくらいなのかな。 しかし、どの本もおもしろく、自信のラインナップです。 『ステーキ!』(マーク・シャツカー) 『すごい短歌部』(木下龍也) 『私の文学史』(町田康) 『哲学史入門 III 』 『人体大全』(ビル・ブライソン) 『マルジナリアでつかまえて』(山本貴光) これらの本を私は、ベッドの上はもちろん、リハビリに行くときも、検査に行くときも、ラウンジに行くときも、持ち歩いてページをめくっています。 すると、少し興味を持ってくれる方もいて、本の内容を紹介したり、そこから派生した雑談をしたり。 業務に関わる効率の良いコミュニケーションはもちろん大切ですが、また息抜きや癒しも大切ですが、 新しい知識を獲得したり、そのベースとなっている(他者の)考え方を受け入れたり、といった活動は、やはり人間には必要なものだと思います。 職場、学校、コミュニティーで、このような学びの風が吹いているといいですね。