かしこい子には、なるべくせこいことはさせたくない
1点でも多く点数を取る、合格の可能性を1%でも上げる。
そのための最終調整は、心技体あらゆる面から検討しなければなりません。
しかし、
しかし、直前でもない時期には、かしこい子には、私はあまりせこい話はしないようにしています。誰でもできることを速く正確に。難しい問題は避けて通る。全体のバランスを見て合格ラインを超えるための確率を上げる。そんなことは、直前にある程度練習すれば大丈夫。
そんなことよりも私が大切にしているのは、
★【誰もができなかった問題にチャレンジすること】
★【点数や褒められること以外の喜びを見つけること】
★【自分のアイディアを他者に説明すること】
大袈裟な言い方をすれば、
今この国を覆う低成長、閉塞感、ヒステリックな言論、受験システム内の序列なんか無視して、
能力を伸ばしきるような場所と機会が必要なのではないかと思っています。
もちろん、自信を付ける過程として、テストしたり、競争したりということはありますし、博打的な大勝負においても緻密な計算が必要になります。しかし「うまくまとめる」ことだけが正解ではない。特に、できる子たちにはもっと大きな可能性に目を向けてほしいと思うのです。
そんなことを思いながら、高校生に『はじめてのスピノザ』の読み聞かせと、いくつかのテーマについての対話をしています。
□ それ自体として善いものも悪いものもない
□ 倫理学は個別の実験を求める
□ 受けとれる刺激の幅を広げる
□ 与えられた条件のもとで力を発揮すること
□ 物を知り、自分を知り、自分が変わる
など
点数を上げる、長時間の勉強に耐える、などは結果であって、
頭や心がちゃんと働いていますか? 新しい刺激を得て自分を変えながら対処できていますか?
そんなふうに子どもを見る大人が、その子の周りに、一人はいたほうがいいだろうと思っています。