教えてないのにわかりやすい?

息子が「教えてないのにわかりやすい」と言っており、よくわからないので授業を見せてもらってもいいですか? ごくたまにですが、こういう相談を受けることがあります。家庭学習時の参考になると思いますので私も嬉しいです。どうぞどうぞ。非公開の公開授業です。


「有名中学入試問題」というのを持ってきてくださったので(お兄ちゃんのおさがり)、まだ5年生ですが一緒に考えていきました。

細かいことは個別の話ですが、本質的には情報の分類整理です。

目次

1.出てきた順番で情報を分類する(溜めない・数を減らす)

2.分類するとは、種類ごとに分ける(混ぜない・数を減らす

3.関係性に注目する(孤立させない・数を減らす

4.新しい情報が出てこないかな(発掘する

5.図形的センスを磨こう(思っている以上に強力)

6.そして改めて観察しよう

7.自分でできた!

テストは確認であって、目的ではない

子どもの個性とは何か


もう少し創造的な課題の場合は、敢えてずらすようなことをしていきますが、それができるようになるためにも、基本の型(情報の整理と図の読み書き能力)を練習していきましょう。

なお、これらは「くえるか」プログラム(興味のないことに興味を持つための情報生理学)でも中心的に取り扱っている内容です。

1.出てきた順番で情報を分類する(溜めない・数を減らす

まずは問題文を読みながら情報の整理をしますよ**(「読みながら」というところが重要です。**たくさんの情報があると、それだけで混乱したり、何かを見落としたりしてしまいます)。同時に図を描くことができるといいのですが、その子の図を描く能力によっては、私の方で描いていきます。

たいていの場合、出てきた順に処理しやすいように、問題文は親切に書いてあるよ。

2.分類するとは、種類ごとに分ける(混ぜない・数を減らす

ただ数字だけ見ても意味が分からないね。たとえば、急に50と言われてもよくわからないね。1つの方法は単位に注目! 50人、50m、50分・・・それぞれ意味が違うよね。長さに関する情報でも、いろいろな長さが出てくる場合もあるよ。「どこから」「どこまで」の長さなのかを確認するよ。

3.関係性に注目する(孤立させない・数を減らす

関係性の中でも簡単なのは、順番と対応関係です。

P地点からQ地点までの距離、AさんがP地点からQ地点までにかかった時間、これらはどちらもP地点からQ地点までの話として対応しているね。また同時にBさんがQ地点からR地点まで進んだとしたら、今度は時間のほうが対応している(同じ時間に起こった出来事)ことになるよね。

4.新しい情報が出てこないかな(発掘する)

公園で遊んでいた子の人数と、帰った子の人数がわかれば、何がわかる? 進んだ距離と、かかった時間がわかったら、何がわかる? 全体の重さと、濃度がわかったら、何がわかる? 円の半径がわかったら、何がわかる?

新しい情報が得られたら、それも図に描き込むなど整理しておこう。

5.図形的センスを磨こう(思っている以上に強力)

言葉で説明してわかるのは、かなり高度なこと。もちろん言葉の訓練としてとても大切です。図による説明の方がわかりやすいことが多いのは、大人でも同様だと思います。そして私の感覚ではありますが、思っている以上に図は強力。形に注目すると、世の中のいろんなことが見えてくるよ。

6.そして改めて観察しよう

観察眼を鍛えよう。
全体を見るか、細かく見るか。
どこに注目するか? 共通点は何か? 相違点は何か? どことどこが対応しているか
特徴が出ていないかな? わざとらしいところはないかな? この形、前に出会ってないかな?

7.自分でできた!

ここまで来るとほとんどの場合、子どもたちは自分で気づけると思います。だから、「教えてもらった」とは思わずに、自分でできた! と思うわけですが、同時に「手前に一緒にやった情報整理が大事だったんですよ」


テストは確認であって、目的ではない

テストはあくまで、その時点での完成度を確認するものであって、将来における能力を測るものでもなければ、目的にすべきことでもありません。

私はあくまで、その子の知性が発揮されることを望んでおり、知性をどのように伸ばせるか? ということだけを考えています(うまくいけば結果として、学校の勉強もできるようになることは言うまでもありませんし、うまくいかない時は私の力不足ゆえに更なるスキルアップが必要です)。

子どもの個性とは何か

ポイントとなるのは、その子の特徴を把握することだと思っています。興味の方向、得手不得手、感情の起伏や成長段階は、一人ひとりでかなり違っています(たとえ親子や兄弟姉妹、双子であったとしても)。そのあたりはいろいろな子を見ていないと気づきにくい点だと思います。だからこそ、本当は社会全体で子どもを育てていくのが良いのだろうと思っており、教員を志していなかった私が今の仕事をしている意義だと思っています。

共通点が見えれば違いが見える。違いが見えればまた共通点も見えてくる。おもしろい経験だと思います。

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