W・A・T・E・R!:子どもたちの小さくて大きな一歩

 この夏休みがんばっていた子が今日、2人同時に「W・A・T・E・R!」。

 マンツーマンですし、学年も全然違うので、たまたま今日同時にということだったのですが、一緒に壁を乗り越えた時は本当にうれしいです。


小学生の算数

 なかなか算数の文章題がわからなかった小学生。アドバイスはずっと次の2点だけ。

○ お話で何をしているのか理解することだけを考えよう
○ 大きな数字で困ったら、小さい数字で実験してみよう

 一度にたくさんのことを伝えようとしても頭に入らないので、この2点に絞ってずっと練習してきました。国語の文章は読めているので、算数の文章題も同じですよ。

 「誰が何をしてるの?」

 しかしどうしても、「計算しなきゃ!」という気持ちが勝ってしまうので、何やら計算をしてしまう。そうしているうちに、自分が何をやっているのか見失ってしまう。また数字が大きかったり、たくさん出てくると何が何やら分からなくなってしまっていました。

「慌てなくていいから、意味を考えること、同じ意味で実験してみること」

 これを繰り返し繰り返し。口で言うのは簡単ですが、お互いかなり疲れます。多少の気分転換を図りながらも、繰り返し繰り返し。サリバン先生が、「D・O・L・L」、「W・A・T・E・R」と手のひらに書き続けたように。

 それが今日、ふっとわかったんですね。まさに、「W・A・T・E・R!」の瞬間です。正直に言えば、そこまで劇的でもありませんが、その方がリアルです。少しずつ「あ、これかも」という感覚に、「そうだよ、そうだよ」と寄り添って。
 その後は、どんどん問題を解くことができていました。

中学生英語

 英文法が苦手な中学生。文法用語の意味や、日本語の文法についても触れながら、1つ1つ完全に理解できるように。

be動詞/一般動詞の使い分け、過去形/現在形/未来を表す表現/進行形、主語によっても動詞の形が変わる、否定文/疑問文の作り方

 1年生の内容ですが、とにかくここが難しい。こちらも基本的なところを飛ばさずに、一歩一歩丁寧に考える練習を繰り返し繰り返し。だんだんスムーズになってきていたのですが、今日、完全に流れるように答えられていました。本人としてもかなり手応えがあったようで、ここまでがんばってきてよかったね!

『子供はわかってあげない』(田島列島)

 大人が当たり前と思うようなことは、かえって教えづらいものです。『子供はわかってあげない』にあった(私の中の)名言。

”教わったことは教えられる”

 ちゃんと教わったことならば、それをまた次の人に教えてあげることができます。しかし、いつの間にかできるようになったことは人に教えることはできません。また、いい加減に教わってしまったら、やはりいい加減にしか教えることができません。ちゃんと教わったけど、忘れてしまったということもよくあります。 だからもしかしたら、誰もが教えられるわけではないのかもしれません。

 しかし、子どものことをよく見て、彼/彼女が何に困っているのかを観察することはできます。聞いても答えてくれるとは限りません。よく見るのが一番です。何に困っているのか? どこでつまづいているのか? 何にストレスを感じているのか? 今(本当は)何を考えているのか?

 そして、バカみたいに基本的なこと、当たり前でしょ、ってことが大事です。その当たり前を言葉で伝えたり、何か体験できるような形にしたり。これも、口で言うのは簡単ですが、とても根気がいることですし、観察力や言語化能力、どうやって伝えればわかってもらえるかと想像力を働かせることは、簡単なことではありません。そして何度も何度も繰り返す。アプローチもどんどん根本原因に近づいていくはずです。
(まったくもって地味な努力ですが、私はそれを続ける人を応援しますし、力になりたいと思っていますし、私だけでなくより多くの方が、その努力を認める世の中になったらいいなと思っています)

 でも一度、クリアできると、今までの苦労がウソのようにサッと視界が開けて爽やかな気持ちになれるのです。

今日は2人にとって、記念日です。自分で掴んだ記念日は、お祝いしましょう!


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