『世界は素数でできている』と『ラブ上等』
『世界は素数でできている』 小島寛之 著
(と『ラブ上等』)
『世界は◯◯でできている』というタイトルの本は、たくさんあります。
経営、言葉、知財、密室、文学、e、……。
そのなかでも、
「そんなわけあるかーい」
の極北に位置するのが、”素数” ではないでしょうか。「私、素数でできてませんけど…」
ところが、読み進めていくうちに、
あら不思議。
あら不思議。
ぐいぐい引き込まれていく。
最終的には、素数に挑む人たちのことが愛おしく、
そして、素数を推したくもなるのです。負けるな! 素数!!
(これは、並行して視聴していた『ラブ上等』とのコラボ効果という奇跡のおかげもあったのかもしれません)
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本書の特徴(「はじめに」より)
2. 素数よもやま話をたっぷりと
3. 素数の歴史を網羅
5. 素数にハマった数学者の人生模様
7. RSA暗号の解説
11. 素数と物理
13. 素数の未解決問題
17. リーマン予想
19. 素数の最先端
(番号はすべて素数という細かな遊び)
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ラブと素数
登場人物: ヤンキーと数学者
行動原理: 情と論理
見つめる先: 刹那と永遠
世界の中心: 俺と数式
仕事?: 喧嘩と因数分解
一見、
いや、何度見直しても、
真逆に思える二つのドラマ。
けれど、同時に読む(観る)と重なって見えてくるものがあるのです。
「正解」するとは限らない。
それどころか、正解など存在しないかもしれない相手に、
人生を賭けて、全力でぶつかっていく覚悟。
ーー素数の研究なんて本当にただの数字遊びかもしれないんですよ。自分でも自分が優秀であることがわかっている人が、そんなもの(⁉)に一生を捧げられるでしょうか?
一触即発!
少しでも目を離すと、
何が何だかわからなくなるスリル。
ーー式変形が難しいので、何度も立ち止まってゆっくり考えないとわからない(笑)。
ほんのちょっとしたこと――
本当に、本当に些細な違いで、
未来がまったく別のものになってしまう不思議。
ーー素数出現のランダム性。また数学者たちの人生に感じる歴史の if 。
けれどその些細な違いは、
それまでの無数の要素の積み重ねでもある、というある意味残酷さ。
ーー二千年以上積み重ねられた人類の叡智の重み
みんな過去を背負ってる。
だから人は、過去を知りたがる。
目の前の相手を、じっと見つめる。
あちこちに顔を出す人(数式)。
一途な想い、一瞬の煌めき。
思わせぶり、素直になれない、すれ違い。
思わぬ再会。
長い、長い徒労……。
そして、
人間(人類)的な成長。
人間讃歌。
だからこそ、明日への希望。
登場してくれたみんな(人や数式)に対して、
尊敬と愛おしさが湧いてきます。
そして、
もっと本気を出したくなる、
まだまだだな、と思える。
そんな読書体験でした。
ありがとうございました!
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考えてみれば、
素数ってなかなかヤンチャですよね。
□ 馴れ合いを拒む、孤高の存在
□ 神出鬼没、予測不能
□ 数々の挑戦を、無言で跳ねのける
□ 分析不能。俺は俺でしかない!
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もし、どちらもまだの方がいらっしゃったら、
ぜひ並行体験を。
人間の幅の広さと、
その奥に通底する本質を
同時に味わえると思います ♪
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“世界は素数でできている”——
荒唐無稽に見えて、
その言葉は案外、真実に近いのかもしれませんね。