怒りのバランス

物語や小説では、登場人物の心情が問題にされます。

心情というのは、感情であり、論理ではないと思われています。

しかし、最近発見したことには、感情もある程度論理であり、できる子とできない子の違いは、その辺にあるのかなと感じることがありました。


ある小説の中で、

登場人物は、貧しい労働者なのですが、やり場のない怒りを覚え、
「自棄酒を飲んで酔っ払ってしまいたい、何もかもぶち壊してしまいたい」

と、発言します。
この時の登場人物の気持ちを答えさせる問題でした。


生徒さんと2人で、この登場人物の怒りの対象を探っていったのですが、
何に対しての怒りなのか、なかなか特定することが出来ませんでした。


どうしてわからないのかな?正直始めはぼくには理解できませんでした。
「何もかもぶち壊してしまいたい」と言っている訳だから、何もかもに怒ってるんじゃないの。。。と思いながら。


そこでまず、この問題を選択問題にするとして、生徒さん自信に選択肢を作ってもらいました。
むちゃくちゃでもいいから、どんどんあげて言って良いよ。
ただし、その時に、「漏れなく、重複なく」挙げる必要があります。
これは難しいので、探し方のヒントをアドバイスしました。

まずは、近くから、だんだん遠くを探して、
その後はだんだん抽象的なものを探す

そして、挙げられた一つ一つについて、検討していきました。

「もし、それに対して怒りを覚えるんだったら、行動や発言はどうなるはず?」


これが、よくわからなくなっちゃうようなんです。



・ うるさい子どもに怒ってるんだったら、「だまれ!」というはず

・ 手紙にむかついたんだったら、その手紙を破るはず

・ 会社や仕事に不満があるなら、「あんな会社辞めてやる」


じゃあ、この場合、「何もかもぶち壊したい」と言っている訳だから。。。



説明しながら、随分と昔のことを思い出してきました。


確かに子どものころは、すごく些細なことに、ものすごい怒り方をしたり、
ぜんぜん違うものに八つ当たりしたり、そういうことが多かったかも。


その辺の感情にも、論理とバランスがあるということから、アドバイスしていきました。


小説が得意な子は、自然とその論理がわかるし、
そうでない子は、その辺の理屈がわからないのかな。

一概には決められませんが。

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