『本当の戦争の話をしよう』 (Tim O'Brien著 村上春樹訳)

20年後の自分たちのための、新・青山プレップスクールです。



個人的なことで。


年に1回くらい、読みたくなります。

決して、おもしろい本ではありません。
なるほど!と納得するものでもないし、
何かのためになるということもありません。


ただ、存在感に圧倒され、
時々手を伸ばしては、打ちのめされております。。。



本当の戦争の話というのは 
全然教訓的ではない。 
それは人間の徳性を良い方向に導かないし、
高めもしない。
かくあるべしという行動規範を示唆したりもしない。
また人がそれまでやってきた行いをやめさせたりするようなこともない。
もし教訓的に思える戦争の話があったら、
それは信じないほうがいい。
もしその話が終わったときに君の気分が高揚していたり、
廃物の山の中からちょっとしたまっとうな部品を拾ったような気がしたりしたら、
君は昔からあいも変わらず繰り返されている 
ひどい大嘘の犠牲者になっているのである。

本当の戦争の話には一般法則というものはない。
それらは抽象論や解析で簡単にかたづけられたりはしない。

往々にして、本当の戦争の話には話のポイントさえ存在しない。

それは本当の話なのか?

あることはたとえ実際に起こったとしても、
なおかつまったくの嘘っぱちでありうるのだ。
あることは実際に起こっていないかもしれない。
でもそれは真実以上の真実でありうる。

結局のところ、
言うまでもないことだが、
本当の戦争の話というのは、 
戦争についての話ではないのだ。 
絶対に。
それは太陽の光についての話である。
それは君がこれからその河を渡って山岳部に向かい、 
そこでぞっとするようなことをしなくてはならないという朝の、
河の水面に朝日が照り映える特別な様子についての話である。
それは愛と記憶についての話である。
それは悲しみについての話である。
それは手紙の返事をよこさない妹についての話であり、
何に対してもきちんと耳を傾けて聴こうとしない人々についての話である。


長い引用になりました。

前の仕事の時によく考えたことです。

ある人に話を聞く。

その人は、嘘をついているわけではない。

しかし、別の人に話を聞くと、別の真実が浮かび上がる。

何が本当なのか?


今の仕事では、子どもたちに何かを教えているわけですが、

それは本当に本当なのか?

勉強の中身だけでなく、進学やその後の進路についても相談を受けます。

それは本当に本当なのか?


時には、【わかりやすい答え】 を求められる場合もありますし、

ぼくが敢えて、【わかりやすく】 お話してしまう場合もあります。

だけど本当は、答えなんてずーっと探し続けているものなんだよ、と。



原発の話、スポーツの話、周辺諸国との話、発見の話、、、


取材した人が嘘をついていなければ、本当なのか?

丁寧な取材に基づいていればいいのか?

1000人に取材すればいいのか?

『事情をよく知る人』 の話は本当なのか?

『科学的』 であれば本当なのか?

お上が言っているから本当なのか?



じゃあ、何もかもが嘘っぱちなのか?




『レイニー河で』は、最近高校の教科書にも載っていますね。








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