医師も間違う(その1:初期診断編)

今から考えると、始まりは3月20日。木曜日。春分の日。

子どもたちの受験や学年末テストも終わり、また私事ですが、16日に父の四十九日の法要を終え、日常を少しずつ取り戻しつつあった頃。



祝日のほうが忙しい朝。起き上がって普通に歩くことに失敗。なにごと?

左足の人差し指の付け根がとても痛い。赤く腫れてもいる。右足も同じ場所が少し痛い。


「捻挫かな? 何もしてないけど……唾でも付けとけば治るよね!」


ポイント1:最初、軽く見てるんですが、そんなもんですよね。この時点で大事だと捉えていると、逆に日常生活や仕事に支障をきたしそう

子どもたちには話を盛って、骨折したと言って、いつも通り授業は行います。

唾をたくさん付けたのですが、その日の夕方、翌日、翌々日と、どんどん腫れてくる。どんどん痛くなる。もう歩くのも困難……となったのが、23日。日曜の夜。


ポイント2:日曜の夜に救急で、とも考えたのですが、命にかかわる話ではないと思い自重しました。後から考えれば、血管炎は悪くすると命に関わることもある。一方で、救急医療でそこまで調べられたかもわからない


その時の写真が、これ。

左足は感覚もなく、熱を持った棒状の物体と化していました。腫れの位置がどんどん上がってきて、足首までポンポンです。

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3月23日
なんとか這うようにして、外苑前の整形外科クリニックに辿り着くことができました。助かった…のかな?

ポイント3:近くのクリニックで良かったのかな? 最初にざっと見てもらう。その後も通いやすいという意味で、間違いではなかったと思います

先生に、現在の症状とこれまでの経緯を説明し、患部と過去の写真を手際よく見てもらいました。
「レントゲンと血液検査しましょう。とりあえず痛み止めを出しておきます。血液検査の結果は、明日の10時以降になります」
え、それだけ?

這うように会社に戻り、普通に授業をし、その日は会社に泊まって、翌日10時、また這いながらクリニックへ。

「レントゲンは綺麗ですね。異常なし。血液検査の結果は、炎症反応が出ていて、あとは尿酸値が少し高いですね。他の数値はどれも素晴らしい。問題ないです。高尿酸血症(所謂痛風)の可能性が高いですね。腫れの部位が典型的なものとは異なりますが、そういう事例もありますし、何より他の可能性が低いので」

「とりあえず痛み止めを続けてもらって、2〜3週間すると炎症がひいてくるので、それから、尿酸値を下げる薬を飲んでいきましょう」
そ、、…それだけ?

実は尿酸値もそんなに高かったわけではないのですが、とりあえず最悪の痛みは抑えられていたので、様子見といったところでしょうか。
ポイント4:この診断は、正しかったのか? この段階では、他に材料もないし、とりあえずロキソニンは効いてそうだったので緊急性も高くないとすれば、妥当な判断だと思います

それから2週間。4月中頃。順調に腫れも引いてきて、そろそろ? というタイミングで、なぜかぶり返し。また腫れと痛みが再発してしまいました。振り出しに戻る。

クリニックに行きましたが、

「腫れが引くまで、ロキソニンを継続ですね。でも、ぶり返しって。。。気をつけてくださいね」


ポイント5:ぶり返す? 痛風でもそういうことは、まああるらしいので、仕方ないか

その後、腫れや痛み赤みはなかなか引きません。結局ゴーデンウィーク明けに、多少腫れと赤みはあるものの、強引に次のステップ(尿酸値を下げる薬)に進むことにしました。ただ尿酸値自体はすでにかなり低くなっていました。


ポイント6:このあたりから、痛風ではない可能性を考えても良かったですね。ただ、整形外科のクリニックでそれを期待することは酷なのでしょうか。専門分化してますからね…(教育もそっちに向かってますが)

画像
5月21日

今、写真を見ると、むしろ右のほうが浮腫んでる感じですね。左は赤い。

ここから尿酸値を下げる薬を飲み始めて、一件落着となるのかなと思っていたら…

5月26日(月)
右足の先(指とその付け根あたり)が痺れ始め、痛みもあったので、またクリニックへ。
また、血液検査とレントゲン。翌日来てください。

5月27日(火)
血液検査、レントゲン、異常無し。
左足の痛み増す。右足の痺れ範囲が拡大し、痛みも増す。
「尿酸値は下がってますが、左足はまたロキソニンを続けるとして、右足は説明つかないんですよねー。とりあえず、様子見ますか」

5月28日(水)
痛み、痺れ、さらに増す。
クリニックが水曜定休のため、近くの総合病院を探す。慶應か山王だったけど、なんとなく山王にする(整形外科)。
こちらはこちらでいろいろありましたが、やったことは、レントゲンと血液検査。
(クリニックのデータは持って行きましたが、見もしませんね。すごいね。何のプライド?)
結果が出るのは次の月曜(5日後)です。それまでは今の薬飲んで、我慢してください。
(そんなにかかるの? 我慢するしかないの?)


ポイント7:この時点で総合病院に行くのは、遅かったか? 遅かったとも言えるが、ではどのタイミングで行けたのか? と考えると、かなり早い判断だと思います。 ただし、それ以上に病状の進行が速い!

5月29日(木)
痺れ、痛み、増す。歩行困難。
日に日に悪化。通勤困難のため、しばらく会社に寝泊まりすることにする。
その上で、
慶應病院に行くか、クリニックに行くか。慶應に行ってもまた検査からだろうから、クリニックへ。


「ロキソニンを増やしましょう」


ちなみになのですが、2か月間毎日ずっとロキソニン飲んでるのですが、大丈夫なんですか?


「ロキソニンは大丈夫ですよ」


他にできることありますか?


「水分をたくさん摂ってください。それで何かあったら、また来てください」


つまり、様子見ということですか?


「はい」


病状の進行を考えると、のんびり様子見している段階ではないと私は思いますが、大丈夫ですか?


「それでしたら、他の科。脳神経とか、血管を診てくれるところがいいと思います」


それはどこですか? 山王で診てくれますか?


「山王に、脳神経内科はありますね」


月曜に予約してるのですがそれでいいと思いますか?


「いいんじゃないですかね」


ポイント8:この時点の判断はどうなのか? クリニックでは完全に後手に回っている。病状なの広がり、そのスピード、事態のフェーズが変わっていることに追いついていない。
超有名学校を卒業し、若くして青山で開業。優秀な先生だと今でも思っていますが、自分の病気については、自分で考えて判断しないとダメだと勉強になりました

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5月29日

5月30日(金)
痛み、腫れは変化無し。
日中、寝られる時に寝ることにする。
山王で予約した月曜(夕方)まで待てるのか…
ちなみにこの間も、毎日普通に授業しています。私のことで、子どもたちの学びの機会を奪えないので。

5月31日(土)
夜、痛みが酷かったため、午前中に山王に行くことにする(この週の午前はたまたま授業が入っていなかった)。


朝一番で、整形外科に行き、本当は検査結果出ていることを確認して(なんでウソついた?)診察してもらう。検査結果は異常無し(知ってた。この時間本当に無駄)。
検査結果の数値は問題なくても、明らかに今の私の状態は問題あるでしょ。


「脳神経内科も診てもらいますか」


はい、お願いします。
そこから脳神経内科の順番待ちとなって、結局診てもらえたのは12時過ぎ(8時に行った)。
現状と経過の説明。
ちょっと足を診て触って…


「うちじゃ無理だね。うちの系列だと三田病院だけど、それでいい?」


どういうこと?もう少しちゃんと説明して。

「いろいろな設備が整っていて、専門の医師がいるところでないと診られない」


ちなみに、三田病院以外にあるんですか? たとえば、田園都市線沿線とか


「電車乗らないから、何線とか言われても……田園なんとかなんて、知らないよ。電車乗らないし」


(謎の電車乗らないアピール)
三田でいいです。


「じゃあ紹介状書くから。なるべく早く行ったほうがいいよ。命に関わることではないけれど、だけど結構良くないから、早いほうがいい。ここは救急もやってるから、救急で行ってもいいくらい」


この後も、少し事件はあるのですが、
2(月)朝に三田病院へ。即入院決定。

初期診断から入院までのおおまかな流れはこんな感じでした。

まとめると、次の2つが私の学び。

1. (前半) 急を要しないダラダラした治療のときは、想定の範囲内に収まっているかをチェック。また、余裕のあるうちに、もし想定外になったらどうしたら良いかを、専門家に聞いておく

2. (後半) 変化が激しい場合は、そのスピード感を、専門家と共有。この時点までに、専門家より広い視野を獲得していると、余裕と納得感を持って対処できる

いずれの場合も、病気は自分のもので、自分で治すという姿勢が必要だと感じました。
専門分化した医師たちが、責任を持って対処してくれることはない。もちろん、自分ですべての専門知識を習得するわけでもない。専門家たちの知識や経験を、自分の身体の治療にどれだけ活かすことができるか?
プロジェクトマネジメント的な立ち位置で、一つのチームをつくるつもりで、病気と向き合うのが良さそうです。

もう一歩難しい話をするなら、病気くんも、きっとチームの一員なのだという気がしています。

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