今週の3分間読み聞かせ(福翁自伝など)
『福翁自伝』
苦々しく思われる方もいらっしゃるでしょうが。
「門閥制度は親の敵」「教育の方針は数理と独立」「学者をほめるなら豆腐屋もほめろ」「子どもの活動を妨げず」「金がなければ時をまつまで」など。
短く読めるところが3分間読み聞かせ向き。明治の言葉ですが、子どもにもそれほど難しくないと思います。
なかでも私が好きな個所は、「乞食の虱をとる」。
身分制度が当たり前の世の中で、みんなが上に媚を売り、下を見下すのが当たり前に暮らしているなかで、福澤のお母さんは、女乞食の虱をとってあげていた(諭吉はそれにつき合わされていた)という話です。おおかた取り終わると最後に「虱をとらせてくれたお礼」として、その乞食にご飯を食べさせていた、そのことをお母さんは楽しみにしていたということです。つき合わされた諭吉は、「今思い出しても胸が悪いようです」と言っているところも、いいなと私は思っています。
ほかには、「手端器用なり」。
手先が器用でなんでも頼まれればこなしてしまう。そうしている中で経験や人脈が将来を開いていくところなどは、今の子どもたちも少し参考にしてほしいと思います。
緒方洪庵の適塾にいたころの話はいろいろと無茶苦茶ですが、「目的なしの勉強」ができていた幸せな時代で、「血に交わりて赤くならず」というところも今の子どもたちの参考になるのではないかと思います。
福澤が現代に生きていたら、何を思うのでしょうね。
ほかにもいろいろ、今週の3分間読み聞かせ。
- 『福翁自伝』(福澤諭吉)
- 『香りの科学』(平山令明)
- 『熟達論』(為末大)
- 『黒檀』(リシャルト・カプチシンスキ)
- 『和音の正体』(舟橋三十子)
- 『若い読者のための哲学史』(ナイジェル・ウォーバートン)