20世紀の科学・哲学・思想(学校では習わないので裏テーマとして)

社会は地動説を受け入れているのに、教育が天動説に則っていたらどうでしょう。

現代社会はそして、未来社会も科学技術抜きで考えることができないはずなのに、現代の科学技術を支える基礎知識は、それぞれの専門理系学生しか学ぶ機会がありません。

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たとえば数学。

中学の最後に習う2次方程式の解の公式や、ピタゴラスの定理は、いまから2千年以上前の時代の最新技術です。高校の最後に習う微分・積分であっても、1700年頃の最新技術です。物理学も同様に、せいぜい1800年頃(マクスウェルの前)までで終わってしまいます。化学や生物は、比較的現代に近いところまで高校で習いますが、理系コースに進まないとごく初歩的なレベルにとどまります。

大昔の最新技術が現代でも有効であることが、自然科学の驚くべき点ではありますが、人類はそこからさらに長足の進歩を遂げています。「こんなこと勉強しても役に立たない」と思うことは、むしろ自然なことではないでしょうか。(鏃の研ぎ方を習っても現代では役に立たないと思うのと同様に)

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しかも、単に古いというだけでなく、世界観が変わってしまっています。

ごく直観的に素直に考えていたアリストテレスの時代から、神が世界をつかさどる時代、天動説へのパラダイムシフトがあり、さらに現代は相対性理論や量子力学が現代を支える欠かせない理論となっています。

人力ではどうしようもなく神にすがることしかできなかった時代、人間の力でなんとなかなると信じられた時代を経て、現代は、もっと複雑に、直感では理解できない世界があり、しかしそのギリギリのところに人間が介入できるかもしれない可能性がある時代。細部を見つつ、同時に全体を見なければならない、因果の糸が想像もできないほど遠いところまで伸びて、素朴な直感だけではどうにもならない時代。

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学校の勉強の合間に、現代の教養としてぼくが裏テーマとして伝えているのは・・・

◆ 相対性理論、量子力学 【現代物理学】

◆ 不完全性原理、トポロジー、群 【現代数学】

◆ 分子生物学、脳科学 【現代生物学】

◆ 行動経済学など、経済やお金について

◆ 倫理・哲学・民主主義について

◆ 現代美術・現代思想

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現代と直接関係がある、現代のルーツを知ることが、未来を生きる今の学生たちには、実際に必要な知識であるはずです。

あまりに多岐にわたり、ぼくごときでは扱えないテーマではあるのですが、なんとか私自身がわかったレベルで、一緒に入り口までたどり着くことを目指しています。

古典を学ぶことも現代との距離を感じ、常識が揺さぶられる感覚を持つこともとても大切なことです。現代科学の深遠に触れることでも、やはり常識が揺さぶられる気持ち悪い快感を得ることができますよ。


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