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2月, 2021の投稿を表示しています

聖人君子ではない私たちが、明日も生きていくための歴史

 目に見えないものを想像する力。 『物理学者のすごい思考法』にも通じる話ですが、 専門家でない私たちが歴史を学ぶ意味、学んでよかったと思うことは、 自分の常識(生い立ち、日常生活から生まれている)から脱却できること。 自分とは異なる常識、価値観、世界を想像できること。 学校では、ひたすら名前を覚えることが歴史の勉強だと 思ってしまっている子が多いですが(そのように誘導されている)、 そんな非知性的な態度が罷り通るほど未来は甘くない。 アメリカで起こっていることも、日本で起こっていることも、 非知性的なものに対するNO!です。 人類がどうして人類たりえたのか、 私たちは何者で、どこに向かっているのか。 神様や聖人君子でない人間が、困難な状況をどのように乗り越えたのか、 乗り越えられなかったのか、良い人が歴史を導くわけではない、 そもそも良い人も悪い人もいない。。。 そういう意味で、「歴史の学び直し」はブームだと思いますが、 面白小ネタ・雑学を集めることだけで終わってはもったいない。 さらにまったく足りていないのは、科学史とくに、20世紀以降の科学史。 科学技術の発展が、人類の思想を根本的に変えた部分が抜け落ちていると思っています。 相対性理論以降、量子力学以降、不完全性定理以降、 私たちを取り巻く世界が、まったく違って見え始めた(人もいる)。 完全に安心できる土台を失った人類がのたうち回っている。 それが、20世紀以降の科学史であり、現在私たちが直面している世界。 20世紀の科学史やりたいなあ。 #物理学者のすごい思考法 #COTEN RADIO

週1,2時間でも「結果」を残す、当たり前(その1)

  自分でも変なことをやっているなと思います。 私に与えられている時間は、多くの場合、週に1,2時間。 その中で全教科に対応しながら、「結果」を出しながら、 だけどそれは目的ではない。 目的は、ひとりひとりが自分の才能と時代の流れのマッチングを考えて、 自分の居場所を見つけ、変化に対応しながら自分の人生を目いっぱい たのしんでもらうこと。 みんなに共通に必要なこと 1.阻害要因を取り除き、全体のバランスを考えること 2.バラバラにして、組み換えること 3.長期的な視点、流れのパターンを見ること 4.意味に注目する、意味を離れて形に注目する 短い時間の中で、目の前の「問題」の解法や テストのための対策などを示しつつも、 本当に伝えたいことは、もっともっと小さなこと。 1.阻害要因を取り除き、全体のバランスを考えること □ その問題が解けない原因となっているものは何か?(どういう情報が足りないか) □ 予定通り進められない原因となっているものは何か? ちょっとしたことで、全体のバランスは大きく変わります。 ショック療法的に強い手を打っても、そのバランスが悪ければ 結局元に戻るか、場合によってはより悪い事態を招く。 (解法を暗記するとか、ほとんど意味がない) コントロールできる範囲で、少しだけ変えてみるよ。 そしてその結果がどのように表れてくるか。 微妙な違いに気づける観察力、センスを磨いていくと、バランスが良くなる。 バランスなんか気にしなくて 「好きなことをとことんやったらよい」 という意見もよくありまして、私もそのレベルでは大賛成です。 ここで私が言いたいのはもっと細かなこと。 好きなことをやっているときでも、そうでないときでも、 すこしの違いが、結果として大きな違いを生む、 ということを自然に感じとってもらいたい、ということです。 うまくいかないとき、 何か少しでも小さな変化を起こして、状況の成り行きを観察しましょう。 もちろん、大きな手を打つことも必要な場合もあります。 □ 問題を最初から考え直してみる □ 志望校を変えてみる □ 環境を変える その場合でも、大きな手を打ったから安心なわけではなく、 その後の経過を注意深く観察すること。 しずかーに、観察する。 *小さい子がしずかーにしているときって、 *危険ですよね。何かにすごく集中して、良くないことをしている

カリキュラムが先か、人間が先か

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うららかな日差しに誘われて、 今年も青山プレップスクールでも、たくさんの花が咲きました。受験が目的ではないからこそ、受験くらいは軽々と(?)クリアしていく頼もしい子どもたちです。 さて、 異論のある方もたくさんいらっしゃると思いますが、ぼくは、人間は工業製品とは異なると考えています。「設計図」があって、「工程表」があって、決まった手順を踏めば、「納期」通りに「完成品」ができあがる。人間(生物)ってそんなものではないのではないか。だからこそ、天然知能はおもしろいし、まだまだ可能性があるのだと思っています。 もちろん、工業的手法が当てはまった時代もありましたし、今でも局所的には効果を発揮するでしょう。しかし、扱っているのは1人の人間です。生き物なのです。1人1人が美しく成長するために、さまざまな手入れが必要にはなりますが、西洋庭園のようにはじめから「設計図」があって、それに合わせていじくりまわしていいのでしょうか。 そもそも何のために学ぶのか? 好みの問題なので、意見の異なる方を否定はしませんが、 ぼくはそのように考えてこれまでたくさんの子どもたちと信頼関係を築いてきましたし、これからもその根底は変わらないと思います。  **追記 すこし言い方を変えると、机上の空論の見た目きれいな資料をつくったり、意味があるんだかないんだか、テストの結果をグラフにしたり、、、そういうことに労力を掛けずに、子どもたちの今に集中するから、短時間で結果を出せる。無駄なことをすればするほど、誰の得にもならない状況が生まれる。子どもたちも変な(意味不明な)プレッシャーや勝った負けた、頭が良い悪い、すごいすごくない、みたいなものから解放されて、自由に頭と心を働かせることが、特に今の子どもたちには必要なのではないかと思っています。

親戚でもないのに、高校生に奨めまくっているPodcast

本が読めなきゃ、Podcastを聴けばよい。 画面を見なくてよいし、2倍速などで聴けるのもよい。 おススメしていて一番反応が良いのは、 歴史キュレーションPodcast番組、「COTEN RADIO」 https://cotenradio.fm/ おすすめポイント 1.歴史をありありと感じられる    テストのための暗記科目としての歴史ではない。    未来を生きていくための歴史。    自分とは違う価値観をインストールしよう 2.ちょいちょい混ざるスタートアップ用語、コンピュータ用語    これが新しい。    現在の私たちと地続きで歴史を体感。 3.そしてもちろん、パーソナリティの個性    深井さん: めちゃ詳しい    やんやんさん: いいフォロー    樋口さん: なんも知らん    特に高校生に聞いてほしいのは、    深井さんの(知識だけじゃなくて)まとめ方、    みんな大好きやんやんさん、    そして、樋口さんの「聞き方」! (大体ぽわーっとなってるけど)    一番マネしてほしいのは、樋口さんの聞きかたです。    ちなみにぼくの推しは、深井さん。深井さんを守ろう。 おすすめエピソード(順番つけづらいですが) 1.三蔵法師 2.ガンディー 3.お金の歴史 4.アメリカ開拓史 永久欠番。高杉晋作 よろしければ、講読、サポータ登録もお願いいたします。 親戚じゃないけど。 #コテンラジオ この Podcast (というか深井さん)が伝えたいのは、 明日も生きていくための歴史 目に見えないものを想像する力。 『物理学者のすごい思考法』にも通じる話ですが、 専門家でない私たちが歴史を学ぶ意味、学んでよかったと思うことは、 自分の常識(生い立ち、日常生活から生まれている)から脱却できること。 自分とは異なる常識、価値観、世界を想像できること。 学校では、ひたすら名前を覚えることが歴史の勉強だと 思ってしまっている子が多いですが(そのように誘導されている)、 そんな非知性的な態度が罷り通るほど未来は甘くない。 アメリカで起こっていることも、日本で起こっていることも、 非知性的なものに対するNO!です。 人類がどうして人類たりえたのか、 私たちは何者で、どこに向かっているのか。 神様や聖人君子でない人間が、困難な状況をどのように乗り越えたのか、 乗り越えられな
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 他山の石: 小論文は総合格闘技であり、ごっこ遊びでもある この引用(予備校時代、一番添削に困った「完璧な文体でナチスの政策を肯定した小論文」とヒトラーファンの女子高生の話)から、参考になったポイントは3点 1.縦割り教育の弊害 2.優秀な子にもちゃんとした先生を 3.推しは正義か? ------------------------------------------ 1.小論文の先生は、国語の先生? 文体や形式、論理的矛盾のなさだけが、小論文の評価基準なのか? そんなはずはない。 大学の名前背負って社会的に問題のある言動をされたらと考えたら、いくら「優秀」でも、受け入れられないでしょう。 (人類が地球にとって害悪、という文章は、論理的に書けるけれども、だから何? 福澤諭吉をこき下ろす文章も論理矛盾なく書けるけれども・・・) 逆にもし、誤字脱字、形式のチェック、論理的整合性のチェックでいいなら、AIでいいのでは。 ついでに「ソーカル事件」。形式などはそれらしく、 ただ内容はまったくでたらめな論文が受理されたという事件。 愉快だけど悪意もあって、めっちゃ怒られた。 思想信条の自由(考えることは100%自由と言ってよい)と、 表現の自由(公共の福祉の制約を受ける)は、混ぜるな危険。 論理なんて、ひとつのよくできた「おもちゃ」(ただし、非常によくできている)。 真実は一つじゃない! #ミステリーと言う勿れ 2.優秀な子が「とんでも」にはまる? 昔、オウム真理教というのもありましたが。 「私こんな文章も書けますよ」と持ってくる子はいます。 想像や論理の幅を広げて、逆説的な結論を見出す。 そういう遊びは、やったらいい。ぼくも一緒に遊ぶ。 今の私たちのもっている「常識」や「倫理観」なんて、 先入観だらけで、「真実」からは程遠い。 自分の常識を疑うために、いろいろなチャレンジをして それを文章として表現するのは、楽しいし、幅広く物事を見られるようになる。 そうやって、仲間内でキャッキャッ楽しむのはいい。 しかしそれを、外で発表するとなると、、、 森さん(全国の森さん、ほんとすみません)のようには、なってほしくないな。 今どき、賢い子は自らいろんな情報ソースから情報を集めらえます。しかし中には、非常に偏った情報源も存在します。 そういう情報にばかり接していれば、偏った考えの持ち主は

物理学者のすごい思考法

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  また、親戚でもないのに、読ませまわって、配りまわっています。  『物理学者のすごい思考法』 https://amzn.to/3aa2yHl  「はじめに」は、なんだかかっこよいことが書いてあるふうなのですが、  なぜか(!?)、「使用上の注意」がついていて、  用法・用量を守って、正しく服用しなければなりません。  内容は、まじめなのか、ふざけているのか、  いえ、まじめにふざけているのです。  いや、ふざけてまじめにやっているのです。  軽やかな、楽しい文体のなかに、  うわ!!!!と思うことがしばしばで、 (特に私は、2次元小説に腰が抜けました)  全高校生に読んでほしい。 と、ほそぼそと布教活動をしております。  まじめに、ふざけて、軽やかに、深遠に。  #物理学者のすごい思考法

「親子関係が史上最高に良好」

 先週、あるお母さまからいただいたパワーワードw 合格したとか、そういうタイミングでなく。 よく「なんで勉強しなきゃならないの?」という話題がありますが、むしろ「なんで勉強させてるの?」(私のような仕事をしている人間が言うのは大いに矛盾ですが、矛盾は大切で内包しなければならないと、矛盾だらけの私は思っています。それは別の話) その子は中学生の男の子に散見されますが、とにかく面倒くさい。読むのも、書くのも、話すのも・・・そして、140字以上の読解力がとにかくない。 まあ、そんなもんですよ。 時間は掛かっていますが、このところ急激に、行間を読むこと、話の流れ・論理展開を読むことができるようになって、書く内容や話もしっかりしてきたなと思っていました。 自分のなかでちょっとだけ「なんだそんなことをやってたのか」とわかったことがあるそうです。知らなかったことでもないし、出来ないほど難しいことでもない、ただ、意識が向いていなかった。そういうことってたくさんあります。 それに気づいたことによって、世界が少し平和になったのなら、そしてみんなの心が少し軽くなるのなら、厳しいことを言ったこともあるけど、大丈夫だったのかなと。 大事なことは、小さな声で言う。 大事なことは、ふざけて言う。 大事なことは、魔法に包んで言う。

ロールモデルがないと困ってしまう?

 ロールモデルがないと嘆く、ロールモデル 直接この方を知っているわけではないので、あくまでロールモデルとして。 いわゆる「勉強」界隈にもよくあてはまる事例。 教わったことを忠実にこなして、世間からわかりやすい 「成功」(有名な学校に合格など)したけれど、 レベルが上がって、かつわかやすい「すごさ」でなくなったときに、見失ってしまう。 ーー引用ーー ・人を育てたら?…やれる範囲ではやってるけど最近気が乗らなくなってきた。「水飲み場に連れてくることはできても水を飲むかどうかはそいつ次第」というのを痛感してる。 ーー引用ここまでーー ぼくもそれは日々痛感しています。 だけど、そこで思考停止でいいのかな?と。 これって、「自分は水を飲むやつだったけど、他人は相当は限らない」ということになるかと思うが、 本当に「たまたま」または「自分が単に優れていたので」、 ということなのだろうか。 見えない働きかけが、プラスにせよマイナスにせよ 複雑に絡み合って、水を飲むようになったのではないだろうか。 と、どんどん深みにはまっていくと、 暇で死ぬのを待ってるだけ、みたいな生き方にはならないし、 たとえ自分だけでは解決できない(カタルシスが得られない)としても、思想が残っていけばいつか誰かが、切り開いてくれる。 ぼくの場合は、「天然知能」の分野で画期的なブレークスルーが今後起こるものと信じて (ライト兄弟が飛べると信じたように) あーでもない、こーでもないと、もがきつつも、 今自分がわかっていることを伝えることも、今後はやっていかないと。(終活) そうした意味で、実現しそうもないことに、 そんなの無理だとそもそも取り組まないか、 だからこそ、ワクワクするのか。 そういった意味で、ぼくが思い出すのは、 高校生の頃だったか。。。清原選手が初詣か何かで、 新年の抱負として述べていたのが、「世界平和」と。 ホームラン王とかじゃないんだ!とびっくりしたものです。 文化の段階として、典型的には中学で習った三大和歌集のように(そのように学校で習うだけで実際にはさまざまな見方があるだろうが) 1.素朴でいろんなものがある段階(万葉集) 2.洗練され、収斂されていく段階(古今和歌集) 3.知識や技巧が積み重なり、一方で難解になる段階(新古今和歌集) 難しくなりすぎると、1に戻る。 困ったら「原点回帰」って、