一条天皇と后たちのものがたり 『源氏物語の時代』

20年後の未来のために、青山プレップスクールです。



女の子の進路相談って、

男の子以上に難しいと感じています。



男女を区別するなんて、古臭い、偏見だ。

そう見られるのもある程度覚悟の上で、

やっぱり、男の子にアドバイスするときと違う要素まで

考えてしまいます。



そんな個人的な悩みを持ちつつ、

『源氏物語の時代 - 一条天皇と后たちのものがたり』

読みました。





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本書は、

   「言葉も生活も、これだけ古典世界を離れてしまった以上、

    今は研究者にこそ<伝えてゆく>責務があるのかもしれません。」

と、『はじめに』にあるとおり、とても丁寧に、一貫した落ち着いた口調の中で、

ぼくのような古典に疎い者でも、その世界観を少し感じ取ることができ、

さらなる興味を引き立てる、そんな本でした。


現代のぼくらの理解を少し助けてくれるために、

それぞれの人物が少しずつ個性化されていますが、

決して無理のあるものではないと思いました。

むしろ、できるだけ先入観を取り払って、具に資料を読み込んだ中で、

自然に浮かび上がってくるもの。



生真面目で、自分を抑え、理想と現実のはざまで理想の側に軸足を置く一条天皇。

藤原摂関家の父と受領階級の母を持ち、

明るくて華やかで、教養深く、細やかな優しさで周囲を包む定子。

定子によって教養が、理想へのあこがれを強くする一条天皇。

後見をなくした定子と一条天皇の、誰も止めることのできない愛。

定子の悲しみを背負う清少納言。

無垢な彰子。

一条天皇の心は定子にあることに気づきながらも、寄り添おうとする彰子。

定子の遺子に愛情を注ぐ彰子。

彰子をかげから支える紫式部。

八十七年の生涯を終えるまで、一条天皇を語り、天皇家を守り続けた彰子。

その他さまざまな人物や事件が、

豊富な古典知識ともつながって、

『源氏物語』の人物や場面に、結晶化されていったのでしょうか。



個人的には、頼道という人に興味があります。




さて、はじめの話に戻って。

流行りのコミュニケーション能力やグローバル人材でなくても、

地に足の着いた、しっかりとした教養があれば、

たとえ逆境にあったとしても、

個人としても、

妻としても、母としても、

一家を守っていく立場としても、

よい人生が送れるのではないかと思いました。




個人的つながりとは関係なく、

純粋に、読んでよかったなと思いました。

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